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女優4人の競演
[ Madison Square Garden DVD ]

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「叙情詩」→「XXX」→「fate」→「forbidden lover」ひたすらこの4曲を繰り返し見ている。
同じ衣装を纏いながらも、全く違うhydeが、全く違うドラマを演じるように歌う。

背景に舞い散る花びらのごとく、花がほころぶような初々しく可憐なhydeが、ひたむきに愛を伝える「叙情詩」。
一変して、妖艶。時に熱く、時に醒めた視線でこちらを翻弄する夜の蝶「XXX」。
会場内にひんやりと漂う冷気。怒りと不信。さまよえる魂「fate」。
それらの感情を、悲しみを、包み込む大きな愛。もしくは、全てを飲み込んで離さない美しい狂気「forbidden lover」。

一本の糸を辿るように移り変わってゆく景色が、4曲目の大きなうねりに押し流されてゆく圧巻の構成。

「叙情詩」で感じられた体温が曲ごとに失われてゆく。

最後、「forbidden lover」の穏やかな表情のhydeが、最も人間離れして見える。
まさに一線を越えてしまったかのような美しさ。

私が今、目にしているのは一体、誰なのだろうか。

身に付けた女優帽、レースの手袋の 「日常を切り離す演出効果」に驚かされる。

5分間の夢を、非日常を与えることが、ステージに立つ者の使命なのだと、才能なのだと実感する。


そしてこの煌きは、いずれか一曲だけ演奏されたのなら得られなかったのではないだろうか。

それぞれが魅せる世界観、4つ重ねることで得られる相乗効果、その共鳴の奇跡に感謝したい。

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