column

HELLOの反対側
[ THE OTHER SIDE ]

ライブがしたい!みんなに逢いたい!とHELLOプロモーション時に繰り返し聞いた言葉。
それと一緒に届けられる彼の反対側をファンはどうやり過ごすべきか。
THE OTHER SIDE の印象は孤独・絶望・拒絶・諦め…
歌い出しではまず、海を前に佇む彼の姿が目に浮かぶ。
ステージから見た押し寄せる人波は、まさにうねる海そのものだろう。
彼の航海において、風は追い風とは限らず、波もまた臨む場所へと運んではくれない。
風は時にその方向を見失わせ、波は彼を取り込まんと押し寄せる。
それでもまたステージへと向かうのは何故?
その暗い海に追い風を探して?凪を求めて?
はたまた渦巻く流れに身を任せる倒錯的快楽を知っているからなのか。
生命の意味、もしくは歌い続ける意味を探す旅は続く。
そこに愛はなかったと、愛ではなかったと気付いてなお。

音楽活動において他ならぬ彼のファンが、少なからず足枷になっていることは自他共に認めるところ。
RJFでのシークレット参加はむしろ頼もしかった。
彼を妄信的に支持する観客は皆無。
音を外せばブーイングもんだろうし、まさに孤独なステージ。
そこであえて歌うということ。
風通しの良い場所から、何が見えたろう?
高いところから、随分気持ちよさそうだった。
もっともっと自由に歌い続けて欲しいと、きっと誰もが思っている。

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